G-EXPERIENCE

体験した気にさせる物語ってどうなってるの?

映画「ビーン」をオーディオドラマにするのは、不可能か?!

ストーリー

 イギリスの美術館で警備員として働くMrビーン。なぜか博士としてアメリカへ行くことになり、名画の講演まですることに。作品を台無しにしたり、遊園地で絶叫マシーンのリミッターをいじったり、病院で手術したりの騒動を起こす。

 

※注意:以下ネタバレがあります

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オーディオドラマ化は不可能!?

 ローワン・アトキンソンビーンは、無口で身勝手そのものだが、事件に巻き込まれ、何とかしてあげるものが多い。そもそも、セリフが少ない。
 ビーンの自己中心的な部分を音でいかに表現するか。さらに最大の面白さは、問題の解決方法だと思う。多くの場合、その結論部分だけを「引きの絵」でみせることが多い。
 つまり、状況を説明するナレーションの嵐になってしまう。
 これでは流石に無理か。

これならいける??

 ビーン以外のキャストで表現してはどうか。彼らの慌てっぷりで、おかしさを伝えてはどうだろう。

 以下引用は、『ビーン 究極のパニック映画のすべて』河出書房新社 リチャード・カーチス/ロビン・ドリスコル/ローワン・アトキンソン 訳者 小田島恒志/則子 1998 より

 

ラングレー宅 キッチン 昼

デビッド「第一印象としては変わった人だね。」
アリソン「変わった人? 火星を追放された火星人だって、あそこまで不気味じゃないわよ。」
デビッド「うん、確かに独特の雰囲気はある。でも、いずれ……」
アリソン「今日中に出て行ってもらいます。」

(上記p.35)


 ビーンの状況をテンポよくナレーションしてもらえば、どうだろう。漫談や落語家にやってもらえば面白いかもしれない。

 

グリアソン美術館 洗面所 昼

Mrビーンは用を足して、洗面所のところへ行く。鏡に向かって髪を整え、ネクタイを直す。手を洗おうと押しボタン式の蛇口を押す。水がひどく飛び散る。ズボンの前がびしょ濡れになる。初対面の目上の人に会いに行く前に、一番あってほしくないできごと。しまった!
 Mrビーンはペーパータオルのホルダーを見つける。そこに駆け寄り、数枚つかみ取り、必死になってズボンをこする。効果なし。
 次に、Mrビーンは温風乾燥機を見つけるーーこれが答えだ! スイッチオン。健康的な、温かい、一陣の風。くやしいことに、位置が少し高すぎてこれもダメ。~

(上記p.39~40)

 

面白いわけ

 デビッドはいう「おとなしくしてここにいてくれ。君が何もしなければ何もまちがいは起こらない。たのむ。ぼくの家族の一大事なんだ。」(上記p.95)このセリフは、無茶をやってくれというフリでしかない。
 そのフリはビーン以外のキャストにお願いして、結果を効果音なりナレーションしてもらえばオーディオドラマであっても映像の面白さに近づく、ような気がする。…いや、無理か。