NHKテレビドラマ『岸辺露伴は動かない』第二話「くしゃがら」をくしゃがらってみた
※ネタバレがあります。
荒木飛呂彦の漫画で、風変わりな脇役が言いそうな台詞です。森山未來さんの演技や身体の動かし方、すべてにジョジョを感じます。ぜひ「味もみておこう」(露伴っぽく)。
「いやいやいや、なんつーの? そりゃ、わかるよ? うん……わかるわかる。オープンテラスの席でよォ、爽やかな風の中でよォ、町の生きてる音を聴きながらネタ作ると、スゲー捗るんだよな」(*引用)
ストーリー
漫画家の岸辺露伴は、カフェで同業者の志士十五と相席になる。そこで禁止用語の話題となり、「くしゃがら」を知っているかと聞かれる。
「くしゃがら」に関する手がかりは一切ない。探し回る志士。一週間後、ろくに食事も取らず求め続ける志士と出会う。「くしゃがらしりてぇだけ」だから、と活用をはじめている。
岸辺邸へ志士がやってくる。岸辺は能力を使い、志士を助ける。そしてついに「くしゃがら」と対面する。
キャラクター
脇の登場人物に魅力がありすぎます。原作の冒頭はこんな出だし。
「志士十五というペンネームは、間違った九九だ。
人生は計算通りにいかない。
そんな思いをこめてつけられた名前だそうだ。~」(*)
いきなり露伴に相席してきた志士。このキャラクターは、次に何をしてくれるのだろう、と気になって仕方がないんです。物語の原動力はサブキャラの行動力でしょうか。志士は、くしゃがらを探るため半狂乱となってゆきます。
原作との違い
もちろん主役の岸辺露伴も面白いキャラなのですが、どのキャラも個性が強めです。
原作を読んで驚いたことがあります。テレビドラマ版と原作小説版の最大の違いでもあると思うのですが、漫画の編集者である泉京香の存在です。原作小説には出てきません。
志士のキャラを立たせるためだと思います。映像だと、余計にわかりにくくなるので、泉が必要になるのかもしれません。さらに、「くしゃがら」が何かを知るために必要です。
蝶のアドリブ
テレビドラマ版はなんといっても森山未來氏の怪演にひれ伏したい。
食いもせず「くしゃがら」を探し、フラフラしているところへ(偶然らしい)チョウチョが! フワフワと迷い込んだ蝶は志士にだけ見えている? これも「くしゃがら」の何かなのかと疑ってしまう。
トロンとした目で、蝶を追うアドリブ。ポルナレフっぽく「ブラボー! おお……ブラボー!!」といいたい。
くしゃがら???
志士だけではありません。研究室で餓死した大学教授も、古本屋の店主も、取り憑かれた人たちです。
くしゃがらが何かは分からないが、オープンテラスで志士が言っていた怖いものに実は近い気がします。
「~〈何度補充してもなぜかカラになるトイレットペーパー〉……っつーやつは、かなり身近に迫る恐怖って感じだと思うんだよなぁ~~~……あ、〈なんかねっとりしてるトイレットペーパー〉もヤバいな! どうするよ、迷うぜェ~~~……」(*)
これはくしゃがらの話題が出る前に、志士が怖いものを岸辺に相談していた話題です。そこには後に出てくる「くしゃがら」のイメージがあります。
始まるまえから、「くしゃがら」の世界に迷い込ませていたのですね。
音ならもっとできるゼっ!
オーディオドラマでも、ジョジョをやることはできるのではないでしょうか。泉さんぬきで、小説により近くなるとは思いますが、朗読したものでもいいから聞いてみたいです。
だってよォ~~~、いやいやいやいや、ぜってぇ聴きてぇって思ってるんだよ、このビチグソがぁ~~~っ