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体験した気にさせる物語ってどうなってるの?

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最近は、noteに記事を書いております。 note.com よろしければ、遊びにいらして下さい。お待ちしてます。

映画『ミッドナイト ラン』が似合う日

映画は自宅のちっこいテレビなんかじゃなくって、映画館で観る想定で制作されている。漫画だって単行本や文庫本より、発売日に雑誌で読むのが一番よいように工夫されている。 なあんて、エラそうに書いてしまったが、わたしは年に数回しか映画館に足を運ばな…

ハエの必要性『ハエを飼う女』より

2023年2月28日にNHK-FMで放送されたラジオドラマ「ふれるストーリーボックス」杉原大吾作『ハエを飼う女』が面白すぎたので、考察してみたい。 物語冒頭、主人公らしき彼には、結婚を考えている相手がいる。でも気になることが一つ、彼女のペットが「ハエ」…

一身上の『プライベート・ライアン』により解釈させていただきます

スピルバーグのプライベート・ライアン。 監督名とタイトルを聴いた多くの日本人は、「ライアンさんの哀しいプライベートな映画? スピルバーグ味?」と疑問を抱くかもしれない。 アイコンの軍服姿をみて、「なんだ戦争をプライベートな視点でみる系かあ」と…

シロさんの簡単レシピから味わうドラマ「きのう何食べた?」

それにしても深夜の飯番組である。 夜にテレビを見ることも減ってきたが(スマホを触るから)、観れば腹がうごき出す。 深夜ドラマに食事を映すのを違法にすれば、国民全体が健康になると思う。「きのう何食べた?」は腹の減るドラマというだけでなく、作り…

スピルバーグ監督「タンタンの冒険」を徹底分析 その3

どこを変えて、どこを残すか? 『THE ART OF タンタンの冒険』では参考にしたノミの市を絵にしたとき、現実との違いが指摘されています。「〜映画にあるような草の茂ったエリアにはありません。実際には周りに数本の木々があり、玉石で舗装されています」「…

スピルバーグ監督「タンタンの冒険」を徹底分析 その2

映画『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』を忘れようとしている皆様へ わたくしは、本作こそ、スピルバーグ監督作品の集大成、ベスト盤だ、と解釈しておるものです。『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』でルーカスに妥協しちゃったフラスト…

スピルバーグ監督『タンタンの冒険』を徹底分析

冒険がしたい。 と、何の説明もなく書くと多くの人は、「行けばいいんじゃね」と首をかしげるかもしれない。最近ではコロナ規制も緩和されてきた。どこへでも行けばいい。 確かにどこにでも行ける。しかし、冒険はできない。あなたが日本在住なら思い出して…

インディの帽子の謎『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』より

インディ・ジョーンズが被っている帽子は、盗掘団のボスから贈られたもの!? どうして悪党からの貰い物を大事にしているの?? 映画『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』で描かれた親子関係にスポットを当てて考察します。 インディ・ジョーンズ最後の聖戦 …

「ニモ」はどうして障がい者なのか

ピクサーの大名作『ファインディング・ニモ』。さらわれた息子ニモを探す旅にでる父マーリンの大冒険です。 いわゆる冒険にでかけて帰ってくる、という構造の物語。ですが、キャラクターたちが特別なんです。え? そうだっけ? 魚だけど普通じゃない? って…

沼ハマった海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の構造

「あるとき俺は娼館にロバとハチの巣を持ち込んだ」 登場人物の一人、ティリオン・ラニスターが全シーズンを通して3回もいうセリフだ。いずれも、「~ハチの巣を持ち込んだ」まででその後の内容は明かされない。 毎回思う、どうなったんだろう、と。気になっ…

アマプラ会員なら無料で楽しめる映画『ブラック・シー』の見方 後編

『ブラック・シー』を「つまんねっ」っていう人がいますが、社会の縮図だと思えば面白くないっすか、という話を前編でいたしました。 ここからは、ネタバレありです。ご注意ください。 映画の後半、謎が残ってしまいます。主人公が別人になってしまうのはな…

アマプラ会員なら無料で楽しめる映画『ブラック・シー』の見方 前編

「決定打のない映画」なんて嫌味や、「面白くなりそうなのに生かしきれてない尻すぼみ脚本」なんてそしりを受けている本作。えー、アマゾンプライム会員なら無料で視聴できるのに、もったいないっすよー。こんな見方をすれば最高に楽しいのに、粗末にしなさ…

映画『フロッグ』をロジカルに分解する〈後編〉

面白い映画であることよりも何よりも、シナリオがロジックで構成されてます。このロジックを分解すれば、人間の感情を見える化できてしまう、のではないか、と。 ただ、間違いなく、ネタバレなしで観たほうが面白い映画です。映画を分析させてもらうためネタ…

映画『フロッグ』をロジカルに分解する〈前編〉

『フロッグ』最高に面白い映画です。何度も観ていると、構造に美しさを感じる部分がありました。シナリオがロジックに構成されているのです。このロジックを分解すれば、人間の感情を見える化できてしまう、のではないでしょうか。 注意! 間違いなく、ネタ…

落語「子ほめ」×「牛ほめ」=「課長の犬」だから必笑?!

ダイソーにかつて落語のCDが置かれていた!? ご存知だろうか、「ザCD」というシリーズがあったことを。もう一度言おう、「ザCD」と。 20年ほど前になるだろうか、売り場には結構な数があった。なぜかわからないが、かつての私は『日本の芸能シリーズ 落語…

ドラマ『先生のおとりよせ』は中身がないから面白い?! 第6話「女系家族襲来」より

最強の食事ってなんだろう。「人生の最後に食べたいもの」というべきか。卵かけご飯や寿司、カレーも強いが、うどんもランキング入りするらしい。意外というべきか、半年に一度は食べるものがでてくる。松茸やキャビアにトリュフではないのだ。 最期を目前に…

スコセッシ監督『ディパーテッド』の面白さに迫る(後編)

先に相手を見つけないと自分の命がない! ってだけのリメイク作品なのに、どうしてこんなに面白いの?? あらすじ、リメイクの分類は前編↴ 何度もリメイクする理由 実は、本作は日本でもリメイクされてます。どうして似た作品を何度も作るんでしょう。シナリ…

スコセッシ監督『ディパーテッド』の面白さに迫る(前編)

先に相手を見つけないと自分の命がない! ってだけのリメイク作品なのに、どうしてこんなに面白いの?? ディパーテッド (字幕版) レオナルド・ディカプリオ Amazon ※参考資料は文末 あらすじ ボストンに二人の男の子がいた。一人は一族に犯罪者ばかり、決別…

新作落語「ほっとけない娘」woほっとけねえ!

新作落語「ほっとけない娘」は落語家さんのオリジナルではなく、募集台本の入選作品だという。柳家小ゑん氏はそれをいまも高座でおやりになっている。ある意味、ラジオドラマより再現性が高い?! ※ネタバレがあります ※参考資料は文末に あらすじ 35歳にな…

ラジオから傑作「傑作が落ちてくる」が降ってキタ

え? これ、NHK? 放送してて大丈夫? ※参考資料は文末 あらすじ 主人公の阿部悠介(33)はヒモのクズ男。定職につくことなく、恋人の千尋(29)をキャバクラで働かせ、食わせてもらっている。 ある日、悠介は酔っぱらって階段を転げ落ちる。ボロボロのフラフ…

黒澤明監督「影武者」の構造をふわっと読み解く

影武者[東宝DVD名作セレクション] アーティスト:仲代達矢 東宝 Amazon ※参考文献は文末 あらすじ ぶつくさという雑兵たち。「直ぐにも落ちる城方と和議を結び、何故戻るのじゃ」「なにやら、訳がありそうだ」 割り切れない撤退をさせられているらしい。「そ…

アナキンはBMW、オビ=ワンは中古車

スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 すでにある史上最高の映画につながる三作目。主人公をいかにダークサイドへ堕とすのか。どうしてあんな黒尽くめのマスク姿になってしまったのか。わたしの中の野次馬メンタルが発動してしまう。 ジョージ・ルーカス…

「池田の猪買い」は「はじめてのおつかい」だ

はじめての場所で、買い物をする。ちょっぴりの緊張とワクワクがありますよね。そんな経験をくすぐり感動へとひっぱりあげる物語って、オーディオドラマっぽいんですよね。今回はそんな2つの物語から、ある法則を導きます。(*参考資料は文末をご覧くださ…

「ボバ・フェット」の第2話が好き

あれは何年前なんだろう。スター・ウォーズのファンとして、ディズニーのことをダークサイドとよび『マンダロリアン』なんて見てたまるか! 自らのフォースに誓いつつ、1話だけみてしまい、どっひゃー面白すぎるんですけどぉ。ぐうの音も出ないといいつつ『…

漱石のオーディオドラマ?!『変な音』

洗濯物を干す時は「夏目漱石」がいい メカ音痴なんですが、スマホがあれば無料で本が読める時代なんですね。それにサブスクっていうんですか、有料で楽しむビデオ屋みたいなのもネット上に複数あるみたいだし。あれ、有料だけじゃないんですよね、無料でTVド…

よく分からない感覚をマッサージしてくれる映画『クラッシュ』

なんとも言えない気持ちになる映画ってありますよね。感想が言いにくい映画。そういう「面白い」というか「凄い」作品を紹介させてください。(第78回アカデミー作品賞、脚本賞、編集賞を受賞作) ※少しネタバレがあります ※文末に参考資料を載せています ク…

素っ裸になって作った『007 カジノ・ロワイヤル』

アマゾン・プライムに“007シリーズ”が並ぶようになった。改めて観てみると、ダニエル・クレイグの『007 カジノ・ロワイヤル』が気になって仕方ない。名作は沢山あるが、どういうわけか気になる。 今回普通に観たあと、音だけで映画を聴いてみた。あること…

映画『K-PAX 光の旅人』から宇宙人らしさを学ぶ

突然ですが問題です。「宇宙人とコンタクトする映画を低予算で撮るとしたら、なにを写せば良いでしょうか?」(なんじゃこの設問?!) 宇宙船の模型? 臨時ニュースを作る? いえいえ、そんなのお金がかかりすぎます。答えは、バナナを皮ごと美味そうに食べ…

続・シナリオを変えてはいけない? 『ラヂオの時間』から学ぶシナリオ術!

前回の冒頭、シナリオライターは「筋を変えられることに、異常にこだわる」という偏見があるが、実際は違うと指摘した。様々なシナリオライターさんへのインタビューを読むと、「変えてもらっていいんですよ」と答えていることがある。作品がよくなるならそ…